こんにちは!
元消防士で、今は防災業務の仕事をしている朔です。
主に、私が消防士の時に疑問になったことを解説していくブログになりますので、よろしくお願いします。
防火対象物
防火対象物って、よく聞きますけど、ぶっちゃけ何のこと言ってるか曖昧ではありませんか?
消防関係の業務をしていれば、必ず一度は聞いたことがあるでしょう。
消防関係者が「防対」ってよく呼んでいて、消防士になったばかりの時は建物に限定しているものと思っていました。
災害出動してる時に「〇〇の防対情報調べろ!」とよく言われたものです。
防火対象物には、「消防法第2条」と「消防法施行令別表第1」の2種類の意味があることを知っているでしょうか?
以降、「消防法→法」「消防法施行令→令」と略して書いていきます。
法第2条
法第2条では、「山林又は舟車、船きょ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物をいう」と防火対象物が定義されています。
読んでも非常に分かりにくいですよね。
分かりにくいですよね、、、
私は、消防学校初任科で講義を受けても意味が分かりませんでした。
簡単に言えば、建築物や山林などだけでなく燃える可能性がある物が防火の対象となっているということです。
でも、山林や車両が燃えているのを見て「防対が燃えているぞ」って言いませんよね。
予防行政の根幹となるのが法第2条の防火対象物ですので、覚えておいて損はないでしょう。
令別表第1
こっちが、多くの消防士が呼んでいる「防対」です。
法第2条と区別するために「令別表第1に掲げる防火対象物」と呼んだりします。
用途によって、「1項」から「20項」までに区分けされていて、世に存在する建物は「1項」から「16項」まででほとんどを占めています。
これに該当する防火対象物に、消防用設備等の設置義務や防火管理者の選任などを消防が指導していきます。
令別表第1の表は、下に簡易なものを載せておくのでご覧ください。
例えば、山林は「19項」に規定されていますが、これは市町村長の指定するものに限るため、全ての山林を含む訳ではありません。
消防用設備等の設置基準で言うと、老人ホームみたいに高齢者が宿泊する建物は面積が小さくてもスプリンクラー設備や自動火災報知設備のような大掛かりな設備が必要になります。
反面、事務所みたいに主に従業員しか使用せず、宿泊も無い建物は、面積が大きくなってもスプリンクラー設備は必要ありません。
令別表第1の表
【項】 | 【用途例】 |
1項イ、ロ | 劇場、集会場、市民会館 |
2項イ、ロ、ハ、ニ | ゲームセンター、キャバクラ、パチンコ屋 |
3項イ、ロ | 飲食店 |
4項 | 物品販売店舗(コンビニなど) |
5項イ、ロ | ホテル、共同住宅 |
6項イ、ロ、ハ、二 | デイサービス、老人ホーム、病院、歯医者 |
7項 | 学校 |
8項 | 図書館、博物館 |
9項イ、ロ | 銭湯、ソープ |
10項 | 駅 |
11項 | 神社、教会 |
12項イ、ロ | 映画スタジオ、工場 |
13項イ、ロ | 駐車場、車庫、飛行機の格納庫 |
14項 | 倉庫 |
15項 | 事務所、発電所 |
16項イ、ロ | 1項~15項が混在するもの |
16項の2 | 地下街 |
16項の3 | 準地下街 |
17項 | 重要文化財 |
18項 | 延長50m以上のアーケード |
19項 | 市町村長の指定する山林 |
20項 | 総務省令で定める舟車 |
名称が同じでも、項が違う時があります。
例としては、展示場を「4項」と「15項」で判定する時があります。
名称だけで判断せずに、必ず使用形態で判断しましょう!
まとめ 何度も読んで頑張ろう!!
法令や火災予防条例を読んでいると、必ず防火対象物という用語が出てきます。
まずは、その防火対象物がどっちのことを言っているかを理解しましょう。
最初のうちは、読んでても書き方が難しくて頭に入ってきませんが、経験則で予防業務をしている横柄なベテラン消防士を論破できると気持ち良いので、是非頑張りましょう!
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