こんにちは!
元消防士で、今は防災業務の仕事をしている朔です。
主に、私が消防士の時に疑問になったことを解説していくブログになりますので、よろしくお願いします。
前回は、無窓階について解説しました。
今回は、前回に解説したガラスの種類と厚さを細かく解説していきます。
無窓階
ガラスの種類によって破壊できる厚さが変わります
前回も少し解説しましたが、有効な開口部として判定するために、「ガラスの種類と厚さ」を確認しないといけません。
一般的に共通なものを書いていきます。
破壊できるガラスの一覧【単板】
まず、合わせガラスと複層ガラス以外の単板ガラスを解説します。
種類 | 厚さ | 引き違い | FIX | 足場の有無 |
普通板ガラス フロート板ガラス 型板ガラス 熱線吸収板ガラス | 6mm以下 | 〇 | 〇 | 関係なし |
強化ガラス 耐熱板ガラス | 5mm以下 | 〇 | 〇 | 〃 |
網入板ガラス 線入板ガラス | 6.8mm以下 | △ | × | 〃 |
〃 | 10mm以下 | △ | × | 関係あり |
引き違いとFIXの「〇」になっているものは、ガラス面を全て破壊できるため、開口する大きさで算定できます。
普通板ガラスとか強化ガラスは、一箇所割れれば全部が割れやすいものと覚えましょう。
「△」になっているものは、網入板ガラスなどといった全面を割るのに時間がかかるものなので、一箇所割ってクレセントやサムターンを開錠するイメージです。
そのため、「〇」との違いは、全面ではなく半面で算定します。
例えば、通常の引き違い窓で、横が1.8m、縦1.0mのものがあったとします。
👉「〇」:1.8m×1.0m=1.8㎡←有効な開口部としての面積
👉「△」:0.9m×1.0m=0.9㎡←有効な開口部としての面積
※半面しか算定できないため、横1.8mを2で割った数字が0.9mとなります。
足場とは?
網入板ガラスと線入板ガラスは、6.8mmを超えるものになると足場が無いと算定できません。
分厚いため、しっかりした足場が無いと、破壊することができないイメージです。
避難階又はバルコニー(建基政令第126条の7第5項に規定する構造以上のもの)、屋上広場等破壊作業のできる足場が設けられているもの
東京消防庁 予防事務審査基準 抜粋
このように、足場なら何でも良いというわけではありません。
こちらも、各消防本部で取り決めが違うので必ず確認しましょう!
破壊できるガラスの一覧【合わせガラス】
次に、合わせガラスについて解説します。
種類 | 厚さ | 引き違い | 足場の有無 |
フロート板ガラス + PVB(ポリビニルブチラール) + フロート板ガラス | 6mm以下 + 30mil(膜厚0.76mm)以下 + 6mm以下 | △ | 関係なし |
網入板ガラス + PVB(ポリビニルブチラール) + フロート板ガラス | 6.8mm以下 + 30mil(膜厚0.76mm)以下 + 5mm以下 | △ | 〃 |
フロート板ガラス + PVB(ポリビニルブチラール) + フロート板ガラス | 5mm以下 + 60mil(膜厚1.52mm)以下 + 5mm以下 | △ | 関係あり |
網入板ガラス + PVB(ポリビニルブチラール) + フロート板ガラス | 6.8mm以下 + 60mil(膜厚1.52mm)以下 + 6mm以下 | △ | 〃 |
フロート板ガラス + PVB(ポリビニルブチラール) + 型板ガラス | 3mm以下 + 60mil(膜厚1.52mm)以下 + 4mm以下 | △ | 〃 |
合わせガラスでFIXは算定できませんが、引き違いのみ算定できます。
しかし、全て「△」なので、算定方法は☝と同様です。
ガラスとガラスの間に吸着樹脂(PVB)があって、ガラス同士をくっ付けてるのが特徴です。
ガラス2枚と吸着樹脂がある分、破壊するのが難しいとイメージしましょう!
破壊できるガラスの一覧【複層ガラス】
次に複層ガラスについて解説します。
ガラスとガラスの間に、空気層があるのが特徴です。
合わせガラスと同じじゃないの?
いいえ!違います!
ガラスとガラスの間が空洞になっているので、合わせガラスみたいにガラスが吸着されていません。
複層ガラスは、各々のガラスで判断すれば大丈夫です。
例えば、フロート板ガラス6mm+空気層+フロート板ガラス6mmの場合とします。
合計すると、フロート板ガラスが12mmで算定できないと思うかもしれませんが、空気層の前後のガラスを各々で判断すれば良いです。
よって、どちらのフロート板ガラスも6mm以下なので、単板の時と同様に算定可能になります。
ガラス以外にも注意しよう!
☝でガラスについて解説しましたが、ガラス以外にも様々な状況があります。
例えば
①ガラスに飛散防止フィルムが貼ってある
②鉄扉だけど小窓がある
③開口部が障害物で隠れてる
④引き違いとFIXが一緒になってる
など、挙げればキリが無いぐらい様々な状況が考えられます。
まとめ 基本が大事
様々な条件は、消防本部によって取扱いが大分変ってくるので、一旦置いておきましょう。
まずは、基本の考え方を覚えるのが大事です。
「〇」と「△」の違いを理解すれば、一部しか破壊できないような開口部はFIXだと算定できないというように、理屈に沿って考えられるようになると思います。
世の中には、様々な開口部が存在しますし、消防本部で取扱いを決めていないパターンも沢山あります。
基本の考え方を大事にして、相手方と協議できるに頑張りましょう!
コメント