こんにちは!
元消防士で、今は防災業務の仕事をしている朔です。
主に、私が消防士の時に疑問になったことを解説していくブログになりますので、よろしくお願いします。
今回は、消防法施行令別表第1に掲げる防火対象の6項を解説していきます。
6項
6項は「イ」、「ロ」、「ハ」、「二」に区分されます。
→そこから、イは(1)~(4)、ロは(1)~(5)、ハは(1)~(5)に細分されます。
【6項】 | 【細分】 | 【用途例】 |
イ | (1) | 病院 ※患者20人以上の入院施設が有るもの |
(2) | 診療所 ※特定診療科名(内科や外科など)で患者4人以上の入院施設が有るもの | |
(3) | 病院、診療所、助産所 ※入院施設が有る(1)と(2)以外のもの | |
(4) | 診療所、歯医者、助産所 ※入院施設が無いもの | |
ロ | (1) | 老人ホーム、介護老人保健施設 |
(2) | 救護施設 | |
(3) | 乳児院 | |
(4) | 障害児入所施設 | |
(5) | 障害者支援施設、障害者グループホーム | |
ハ | (1) | 老人ホーム、老人デイサービスセンター ※6項ロ(1)以外のもの |
(2) | 厚生施設 | |
(3) | 保育所、認定こども園、一時保育 | |
(4) | 児童発達支援センター、放課後等デイサービス | |
(5) | 障害者支援施設、障害者グループホーム ※6項ロ(5)以外のもの | |
ニ | 幼稚園、特別支援学校 |
数が膨大で見るのが嫌になってきますよね…
表では大分省いていますが、別表第1には、「〇〇法」とか「総務省令で定める」とか読む気が無くなる文言がずらりと書いてあるため、項判定の勉強をすると、必ず躓くところだと思ってます。
細かい用語はいつか解説するので、今回はざっくりと解説していきます。
6項は、主に病人、高齢者、子供、障害者といった火災の時に避難しづらい人達が使う建物になります。
6項イ 病院など
病院や診療所などといった身体に不調がある人が多く使う建物です。
まず、抑えておくのは入院施設が有るか無いかです。
有れば(1)~(3)のどれかになって、無ければ(4)になります。
次に、どのくらいの人数を入院できる施設が有るかで、変わってきます。
・病院→20人以上の入院施設が有れば(1)になり、19人以下なら(3)になります。
・診療所→4人以上の入院施設が有れば(2)になり、3人以下なら(3)になります。
ただし、(2)と判定されるのは、内科や外科などの特定診療科名が有るものだけです。
例えば、(1)に比べて(3)の方が泊まりの入院患者が多いため、火災が起きたら危険なのはイメージできますよね。
当然、(3)に比べて(1)の方が消防法の規制は厳しくなります。そして、入院施設が無い(4)が最も緩いです。
簡単な項判定の流れとしては、「入院する施設があるか→多くの人が入院するか→症状が重い人を診るか」となります。
6項ロ 入所有りの老人ホームなど
老人ホーム乳児院などといった高齢者、子供、障害者などが入所(泊まり)する建物です。
6項ロに該当するものは、全て入所する人が存在します。
6項イと同様に、入所が有るか無いかを抑えておきましょう。
なお、「軽費老人ホーム」、「有料老人ホーム」、「小規模多機能型居宅介護」、「障害者支援施設」は、入所が有っても6項ハに分類されることがあります。
簡単に言えば、要介護区分などによって避難困難な人がどれくらいの割合で入所しているかによって、変わってきます。
ここで書くとややこしくなるので、詳しくは別で解説します。
中でも、(1)と(3)は延べ面積に関係なく、スプリンクラー設備の設置が義務となるほど、火災が起きたら人命危険が大きい建物です。
6項ハ 入所無しの老人ホームなど
6項ロと同様に、高齢者、子供、障害者などが使用する建物です。
6項ロとの違いとしては、入所が無い建物がほとんどです。
入所が有っても6項ロに該当しなかった「軽費老人ホーム」、「有料老人ホーム」、「小規模多機能型居宅介護」、「障害者支援施設」は、6項ハに分類されます。
入所が無かったり、避難困難な人の割合が少なかったりするので、6項ロに比べて消防法の規制は緩くなります。
6項二 幼稚園など
幼稚園や特別支援学校といった、子供や障害者が使用する建物となります。
保育所(6項ハ)に比べて、幼稚園は満3歳から入園となるため、保育所に比べて火災が起きた時の人命危険が少なくなります。
消防法の規制でいうと、6項の中では、イ(4)と同じくらい緩い建物となります。
6項は難しい
なるべく簡単に書こうとしたんですが、難しくなってしまいました…
残念ながら6項の建物で火災が起きると、死傷者が発生する可能性が高いです。
特に6項ロは消防行政が力を入れていかなければならない項だと思います。
この用途判定を誤ってしまうと、本来必要な建物に自動火災報知設備やスプリンクラー設備が設置されていないがために、人命を失ってしまう恐れがあります。
6項の用途判定をする際は、何度も法令や通知を読んで、特にシビアになって取り組みましょう!!
次回は、7項から10項までを解説します。
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